2011年09月01日

ゴーゴーAi アカデミズム闘争4000日

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海堂 尊

講談社 2011-03-01
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日本の解剖率は2%台で先進国中ぶっちぎりの最下位。
犯罪行為や虐待が見逃される「死因不明社会」解消のためには、CTやMRIで死体の画像診断をすればいい。
無名医師だった海堂尊は10年前にAi(死亡時画像診断)の概念を思いつく。「中立、平等、透明、迅速」なAiは、たちまち世に広まるかに思えたが、
そこに立ちはだかったのは厚労省官僚と解剖に固執する“解剖至上主義者”たちの厚い壁だった。『チーム・バチスタ』をもしのぐ超興奮、
苛立ちと爽快感が入り乱れる、前代未聞の知的ノンフィクション。

  


海堂尊の憂鬱

解剖率低くて困っちゃうからAiしようぜ!
と言ったら無視されたり、嫌がらせされたり…そんな日々が丸ごとつまった奮闘記です。

AiとはCTやMRIで死体の画像診断をすること。
日本の解剖率は2%台、じゃあ解剖率増やそうぜ!といってもそう簡単には生きません。
解剖は専門の知識がいるので
人材を一から育てるのも大変です。
そもそも医療現場に人が足りてない状況なのに
解剖だけ人を増やすというわけにもいきません。
しかし残された遺族はなぜ患者が死ななければいけなかったのか、
その理由をしりたがります。
そしてもし治療が不適切だったのなら
ちゃんと謝罪して欲しい、これ以上同じミスで死ぬ人が一人でも減って欲しいと思うわけです。
解剖であればまず人手が足りていないし、
解剖結果が分かるまで一ヶ月かかることもあるのでその間遺族は苦しみ続ける、
そのうえ解剖は遺族に情報開示義務がない。
多分医学の心得がないと一見だけじゃ分からないだろうし、
基本的に情報開示されない解剖は
「医療不信のための情報追求」のはずが不透明な解剖によって
二度も遺族は苦しめられる。
遺族の心の中には「患者は医療行為によって無駄に傷つけられ死んだかもしれない」という可能性が蟠っている。
だから死後ぐらいは傷つけたくない、安らかでいて欲しいと望む。
でも死因は知りたい、医療ミスなら逃したくない、そんなジレンマが遺族を苦しめる。
大切な人を亡くしただけでも酷い悲しみなのに
解剖が、そして解剖できないと言う事実がさらに遺族を苦しめる。
ここでCTやMRIで死体の画像診断をすればまず遺体を傷つけることがない。
解剖は遺体を切り開いて診断して、遺体を標本にして診断して、と労力も手順も多い。
Aiは解剖に比べればずっと労力が少ない、診断も早い。
Aiさえあれば救われる遺族は増える、というわけです。

Aiで救われる遺族だけではありません。
医療もまたAiで救れます。
遺族が医療ミスだ!と思ってAiで調べてみたら
患者の容態急変だった。
医療ミスした医者は居なかった。
医療に殺された患者は居なかった。
というケースも本書では扱われています。
Aiが普及されればみんなが幸せになるのです。
Aiは世界に必要なのです!
だからAiの費用を国に出してもらおうぜ!

@Aiは遺族・医療関係者の苦痛を取り除く。
 医療ミスを明確にし、医学の発展に貢献できる。
 闇に葬り去られていた犯罪や解剖で見つけにくかった虐待を発見できる。
 病院側の隠蔽を防止できる。

AAiで全ての死因を定めることは出来ないので不確定なものは解剖を進める。
 Aiすることで解剖前にある程度の可能性が絞れて解剖も円滑に進む。とても便利。

BAiの画像は放射線技師が撮り、放射線技師が判断すること。
 他の分野がしゃしゃりでてくるんじゃない。

C必ず遺族に情報を開示すること!
 
D良いことずくめ!だから国で費用出してよ!

そんなAiセンターを作ろうぜ!というのが海堂尊の主張。
で、@はみんなに理解される。
そりゃ日本語が理解できればそれがどれだけ素晴らしいことか、すぐに分かる。
遺族もノリノリ、市民にも人気。
政治家も警察・検察、医療事故での争いが増えたほうが仕事があって嬉しいはずの弁護士だってうなずくレベル。
ただAからがヤバイ。
解剖医がAiで解剖の仕事が減るんじゃないかと嫌がってしまう。
それで解剖医がAiもやろうとしゃしゃり出てしまうのだ。
ついでに仕事が増えたら嫌な放射線技師も全然乗り気じゃない。
厚労省の補助金で死因研究のモデル事業で申し訳程度にAiもやってみるのですが
専門外や院生が画像撮影するものだからAiの評判はめちゃくちゃ。
今までどおり解剖の領分にAiを含ませると遺族が望んでいる透明・迅速な死因解明が
出来なくなってしまう。
それでもって国(官僚)は費用出し惜しみするし。
やっぱりAiダメだよねー
むしろ海堂尊ダメだよねーってことにしたい人が足を引っ張り
逆に仲間が出来たり、
仲間っぽい人たちも
「いや、Aiが普及すれば解剖の仕事が増える(キリッ」
とかいっちゃって、(キリッじゃないよ。
確かにそうかもしれないけど誰も彼も自分達の領域の利益のことだけ
遺族のことや医療全体のことはどうでもいいのかよーみたいな。
そんな4000日間の記録です。
重複大目。
しかし安藤は医療に心得はまったくないので
そうやって反復されたほうが頭に残りました。
海堂尊はそんなふうに政治家や官僚にAiをすりこんでいったのかな。
講演会のアンケートで
海堂尊本(チームバチスタ)読んだ? 
という質問を設けたら二割しか知らなかった。
海堂尊の講演会なのになんでだよ!まだ売れる!!
大ファンですという人が何故かAi知らなくて途方にくれていたりしていたのですが
そういや安藤も「チームバチスタ」でAiの印象があんまりなかったりする。
やっぱり表題のバチスタ手術とか、
主人公たちが精神科医なのでそっちで解決した印象が強いからかな。
アクティブフェーズって分かりやすいからな。
昔から探偵はアクティブとパッシヴを使い分けて言質を取るものですからね。
人間は慣れている印象を優先する生き物なので
なんとなくAiの印象が薄れて忘れてしまった、という人もいるのかな。
実は安藤もAiの部分は曖昧だったり。

庶民的な感覚ではどうやってもAiは必要なんだから
解剖の利益が減る〜権威が減る〜というのならさっさと放射線技師に転向したり
あらたな利益を追求すればいいのになあと思いました。
大丈夫、大丈夫、医者できるぐらい頭がいいので大体のことはできるって、
と無責任に思ってます。
Ai反対派は諦めて頑張れ☆

よく民主党は何にもしていなーい!
と主にネット上で騒がれていますが
Aiの推進は民主党時代に一度は進んだらしいのでそれが民主党の功績になるのかな。
まあ、またのろのろ進行になってしまったようですが。
これでAiセンターの費用が国から支払えるようになったら
ようやく民主党の手柄ってことにしていいのかな。
安藤は民主党は嫌いではやく自民党に戻ってほしいなと思っている国民ですが
国のトップが無能だったという事実も見せてほしくないとも思っているので
一つぐらい自民党に出来なかったことをやり遂げてほしいわけです。
あっというまにAiが広まりあとは金の問題だけなので
頑張ってほしいものです。
多分安藤が死ぬ頃には何とかなっていると思うのですが
著者が亡くなるまでにAiが完成することはあるのだろうか。
ちょっと微妙な所。
頑張れ、誰でもいいからAiを完成させてくれ。
民主党に期待。

海堂尊の足を引っ張る深山正久教授のモデル事業レポートが
二つの新聞社から異なる評価で報道されてなんじゃこりゃぁ!!という部分が面白かったです。
Aiって使えるやつなのに解剖優先にしたいから色々へ理屈つかって道理を引っ込めてたら
色々スキだらけでそこを切り崩していく所が面白い!
でもこれ、現実なんですよね…
まったくこれだから偉い人は困る。
悪いことをしたらバレる。
でも本人は悪いこと(捏造とか遺族の気持ちを考えないこととか)している意識はないんだろうな。
逆に海堂尊がこちら側の利益と尊厳を削ろうとしている!
これは聖戦である!とか思ってそう。
きっとそんなんだからガキみたいなこと出来るんだろうなー。
ガキみたいなことの詳細は本書で。

社会のあり方だとか、人間のあり方だとかを考えさせられる本でした。
更なる医学の発展を願いたい。





posted by 安藤 at 23:35| Comment(1) | TrackBack(1) | 講談社 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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Posted by 藍色 at 2012年02月14日 17:27
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