![]() | 萌えるアメリカ 米国人はいかにしてMANGAを読むようになったか 堀淵 清治 日経BP社 2006-08-14 売り上げランキング : 97363 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
米国でマンガ出版社ビズ(現在は小学館・集英社の共同出資)を立ち上げ、
少年ジャンプやポケモンなどの米国版を成功させた著者が、いかに日本マンガを英訳し、販路を拡大したのかを、ドキュメンタリー形式で紹介。 ここ数年、日本のアニメやゲームなどのポップカルチャーは世界的に認知度が高まりマンガの翻訳本も人気を集める。もともと米国のマンガは、マニアックなファンたちのものだった。そこへビズはカムイ伝やナウシカなどの日本マンガを英訳して持ち込み、マニアたちの人気を集めながら徐々に成長。その後、ポケモンブームなどの波に乗り、現在の市場規模は1億ドル超で、ビズはトップ5に入る。 コンテンツ輸出は日本にとって極めて大きなビジネスチャンスだが、多くの日本企業はそのチャンスを生かしきれてはおらず、一部メディアによる日本文化ブームの報道は実態よりも少し誇張されている。 そうしたなかで、本書に描かれた事例は、単なる成功物語としてではなく、学ぶべき価値あるケーススタディとなっている。
萌えてもいいの?
「萌えるアメリカ」というタイトルに惹かれて読んでみました。
どちらかというと「米国人はいかにしてMANGAを読むようになったか」という副題の方が
内容に沿ったタイトルの本でした。
現在のアメリカというよりは過去20年間のアメリカ出版企業おさらいコミック中心のお話。
アメリカの出版、販売業界は日本に比べて実に複雑で
なかなか思うように漫画を売ることが出来ない苦悩が書かれています。
アミコミをはじめコミックの類は
ダイレクトマーケット(以下DM)と言われるコミック専門の書店で売られています。
DMの最大の特徴は「返本無しの完全買取制」、
出版社側にはありがたいシステムです。
しかし売切れてしまったコミックはなかなか発注してもらえないというデメリットもあります。
マーベルだとかDCだとかの大手有名コミックスは割合早く追加注文してくれるのですが
「返本無しの完全買取制」ということで店側はもし売れなかった時のデメリットが大きいので
弱小無名出版社の本は追加注文したがらないと言う事情があるのです。
あと電話メンドクサイわ〜とか。
ここらへんアメリカなんだよな〜と。
せっかく売るチャンスがあるのに堅実かつ怠惰にお仕事しちゃうのが
アメリカの小売、特にコミックスはそんな感じみたいです。
主なコミックスはDM方式で売られていますが
他にも一般の本屋で売ることもできますがそのためには検閲の合格が必須となります。
合格したコミックは全年齢向けで正規のルートで販売することができますが
それ以外は成人向けコミックスのカテゴリに入れられ販路が大幅に狭められることになります。
アメリカ銃社会とはまったく別のところで生まれた
日本の漫画はアメリカすれば過剰な暴力、過剰なエロスに溢れているのでしょう。
日本の漫画を普通の本屋で売ることは中々出来ません。
逆に暴力的でもなければエロクもない作品ならコミック専門店以外でも売ることが出来ます。
アメリカでも大ヒットしたポケットモンスターピカチュウは
トイザラスなどの玩具屋に置く事ができ、大ヒットを飛ばしました。
アメリカの人口、国土は日本とは桁違いで
その桁違いの国土に本を行き渡らせることは大変な作業です。
無駄なくいき渡らせるために日本から見れば無駄に分割されたマーケットがあります。
例えば単行本と雑誌の流通ルートが別々だったり。
日本では単行本も雑誌も一緒くたになってします。
アメリカにおける雑誌という読み物はちょうど日本における新聞のような物で
定期購読するのが普通の読み方のようで漫画雑誌の販売も一苦労。
実際書店で雑誌を一通り揃えるのも苦労するのでしょうね、広いから。
だからこそアマゾンのような宅配までしてくれる企業が生まれたのかもしれませんね。
アマゾンが生まれたのは1995年からということもあって
本書ではアマゾンと日本製翻訳漫画の関係はまったく書かれていません。
これからのマンガ史ではアマゾンとの関係が書かれていくのではないかと予想。
電子書籍やアマゾンなどの通販サイトの登場で
もはやアメリカが広すぎるといういいわけなんて使えない状況になった今(2011年〜)
ジワジワと売り上げが落ちてきたり横ばいだったりするらしいです。
やっぱり文化が違うから無理なのかなー。
日本の漫画が売れると言うことは日本の企業・作家が儲かるということで
喜ぶべきことなのですが
海外まで売ってどうする?
そこまで企業を大きくしてどうする?
という気持ちもあります。
実際売れてないと言うことはアメリカの風土に合ってないんじゃないかなー。
それでも日本の漫画を読みたいと言ってくれている人たちはいるので
確実にその人たちに届いて赤字にならない程度でいいんじゃないかなって思います。
アメリカに日本の漫画が行き渡って良かったことと言えば
日本の漫画の影響を受けてアメコミのバリエーションが増えたこと、
らしいです。
アメコミ少しか読んだ事がないのでよく分からないのですが。
フルカラーアメコミは値段が高いのでモノクロ漫画が流行って
子供にも簡単に買える値段になったらいいのにと思います。
最近は日本もコミックの値段は高めなんですけどね。
昔みたいに390円ぐらいにならないかな…。
基本的にアメリカのことしか書かれていないのですが
ちょこっとだけ他国のことも書かれておりそれがなんだか笑えました。
<引用>
アメリカでのマンガビジネスの将来に暗雲が立ちこめていることに危機感と焦りを感じていた我々は、
まさにそんな二者択一を迫られようとしていた。
そんな時イタリアの二つのコミック出版社から(略)『北斗の拳』をイタリア語版で
出版させてもらえないかという問い合わせの電話がかかってきた。
(略)
イタリアで最も印象的だったのは、コレクター達のマニアックなムードが漂う
アメリカのコミックショップとは違い、どの店もおしゃれで明るい雰囲気が漂っていたことである。
コミックスのようなッポップカルチャーを売る店が、古くて味わい深い町並みの中に
何の違和感もなく溶け込んでいる様子は、
この国の文化の成熟度を象徴している象徴しているようにも思えた。
ヨーロッパでも随一の文化大国であるイタリアがヨーロッパで最初に火をつけたということも、
ある意味では当然のことだったのかもしれない。
(略)
イタリアで火の付いたマンガ人気はまもなく同じラテン系のスペイン、ポルトガルへ飛び火し、
やがてスウェーデンやフランスからも問い合わせが来るようになった。
(略)
ちなみにヨーロッパでマンガ人気が高まるまで最も時間がかかった、
イギリスとドイツである。
どちらの国も異文化に対する警戒心が強いと言うことだろう。
その後、ドイツでマンガ人気が高まるのは九〇年台も末になってからのこと。
イギリスは僕の知る限り、未だにピンと来ていないようだ。(2006年現在)
<引用/>
いったいドイツに何があったのか…
イギリスは安藤の知識にあるとおりのイメージで面白いです。
日本の漫画の
ドイツに関する本は見つからなかったのですがフランスに関する
本は見つけたのでいつか読んでみようと思います。
巻末にビズコミックス刊行タイトル一覧が載っているんですけど
安藤はまったく漫画読んでこなかったんじゃないかってぐらい
未読本ばっかり。
大体約200中47冊ぐらいが読了本。
全巻読んでるものも少ないのでもしアメリカ人と漫画の会話をすることになったら
まったくかみ合わないだろうな…と思いました。
世の中には沢山漫画があるんだな〜
著者の堀淵清治という人物はまるでフィクションの中の主人公のような方で
まるで物語のような展開で読み応えのある本でした。
強運と激動に恵まれています。
本人はそうでもないよ〜とかいいそうですが
最近、西尾維新著「×××HOLiC アナザーホリック ランドルト環エアロゾル」読了し終えた
安藤は彼がアメリカコミック界の主人公の一人であったことを確信しています。
今の主人公は多分ライバル会社のトウキョウッポップあたりにいそうです。
普通に読み物として面白い本でした。
萌えるアメリカ、オススメしたい。


