2015年08月06日

イノセント・ゲリラの祝祭 下

イノセント・ゲリラの祝祭 (下) (宝島社文庫 C か 1-8)イノセント・ゲリラの祝祭 (下) (宝島社文庫 C か 1-8)
海堂 尊

宝島社 2010-01-08
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厚生労働省のロジカル・モンスターこと白鳥圭輔から呼び出しを受けた田口公平は
、医療事故調査委員会に出席するため、
日本の権力の中心地、霞ヶ関に乗り込んだ。
だがそこで彼が目にしたのは、
崩壊の一途を辿る医療行政に闘いを挑む、
一人の男の姿だった。累計780万部を突破する田口・白鳥シリーズの、
新たなる展開に注目。大人気メディカル・エンターテインメント第4弾!



星は四角い箱の中にはいない。

役所にスターはいらない。
ヒーローはいらない。
という細井次官の言葉はある意味正しいのだと思います。
大きなシステムを永遠に更新していくためには
スターでなければできない仕事というものはあってはならない。
スターがいなくなったら誰がその仕事を続ければいいのだろうか。
その意見、世界観は間違ってはいない。
しかし例えばAiの導入、日本の解剖率を上げて犯罪の抑止、見逃しを防止する、
そのための予算を組んだり意見をまとめたり、ということは
誰にもできないことなどだろうか?
スターやヒーローにしかできないことだろうか?
彦根は確かにスターでヒーローだったけれども。
それが役所が悪人として立ち上がったから生まれたヒーロー像です。
役所が自分自身を悪人にさえしなければ敵なんてどこにもいないし
ヒーローなんて必要なかった。

たとえ役所が綺麗に整えた四角になったとしても
対応すべき世界とか国民とかは別に四角でも綺麗でもない。
世界はいびつで粗雑で、時間の流れが合って、
人間は人間の形をして人の心で物事を測る。
仕事相手が綺麗な四角ではないのだから
ある程度流動的に柔軟的に対応できるようにならないと
お仕事にならない。
スターやヒーローは要らないのかもしれないけれど
ちゃんとお仕事をしなければ外側からスターが生まれるものなんじゃないかなー。
そう思うと白鳥の存在はキセキなようなものなのかもしれません。

今「チームバチスタ」を読み返しているのですが
なんだか感慨深いです。
「チームバチスタ」のころは誰も田口のことを知らず
田口も登場人物のことを遠くの星か名前だけ知ってる誰かとしか認識していませんでした。
高階院長との関係も15年の歳月の間が開いていました。
完全に物語の外にいた田口。
田口の努力は伊達じゃない。
危険アラームの能力侮りがたしといったところですが
しかしついにモンスターに見つかってしまったんだなぁ。
「ナイチンゲール」では島津、「ジェネラル」では速水
「イノセントゲリラ」では彦根が現れます。
最大限の努力で物語の外で引きこもっていた田口が
15年の時を超えて引きよせられる姿を幻視します。
「もーだめだよー田口センセは優秀なんだからこっちこっち」と
モンスターが笑いながら小さな田口をつまんで
ぽいっと中心地に投げ捨てるような
そんな図が見えます。
「チームバチスタ」で氷室が呟いた「こりゃじゃ医者も壊れるぜ」
という言葉と彦根が今やっていることの根っこは同じことなんだと思います。
まぁ氷室は自分のやったことを正当化するために
言っているだけだと思うのでアレなんですが。
医療関係者が氷室の呟きを受けて思い浮かんだことは
彦野がやっていることと一緒ということで。
彦根の行動は大胆でお役人さんを唖然とさせていますが
人を殺すよりずっといい方法で、
正しい手順で医療を立て直そうとしている。
「イノセントゲリラ」では探偵を必要とする殺人事件が起きず
「チームバチスタ」で殺された被害者が現れ
胸の痛みを田口に吐露する。
そういった対比が
ずっと前から物語の中心にいるべきだった田口、というものを連想させます。
物語があるべき姿に戻ろうとしている。
そんなイメージの一冊でした。
これから医療はどうなるのでしょうか。
楽しみです。

全然ミステリじゃなくて驚きました。
でも楽しかったです。
感想終了。



posted by 安藤 at 23:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 宝島社 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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