2015年09月13日

終末のフール

終末のフール (集英社文庫)終末のフール (集英社文庫)
伊坂 幸太郎

集英社 2009-06-26
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八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。
そう予告されてから五年が過ぎた頃。
当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。
仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。
家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。
はたして終末を前にした人間にとっての幸福とは?今日を生きることの意味を知る物語。



世界は大切な愚者を失った。

八年前世界は死んだも同然になった。
それから五年後人々は落ち着きを取り戻し始めた。
つかの間の休息、きっと残り一年となれば
死の恐怖に怯えた町はまた騒がしくなるだろう。
夢、希望、将来、足りないものだらけのこの世界。
こんな世界にこそ何か足りないような気がする。
この世界に和也がいてくれたらどうだろうか。
和也の愚かさで家族は救われたのではないだろうか。
こんな馬鹿馬鹿しい死に方を迎える世界に和也は必要だったと思う。
しかし和也は死んでしまったのだ。
八年前より前に。
それが悲しい。
それでも、死んでもなお家族に笑いを灯した和也は凄いと思う。
隆太も死んでしまった。
いいやつほど、最後にこそふさわしい人間ほど先に死んでいく。
それでも田口は生きているし倫理子は生きている渡部の親父も生きている。
辰と虎の兄弟は自分を取り戻し、苗場とウールくんは世界が終わるというのに成長し続ける。
桜庭夫妻は新しい生命を授かった。
和也や隆太がいなくなってしまったことは悲しい。
矢部が死んでしまうのは寂しい。
矢部が死んでしまえば二ノ宮は世界と繋がりを失ってしまうだろう。
二ノ宮みたいな面白い人間ともう二度と誰の目にもさらされず
失われていくのは寂しい。
けれども生きている人たちはほんの少し繋がって
ほんの少し幸せになる。
世界が終わるだなんて思いもしなかった時と同じ幸せのようで
全然違うような幸せ。
幸せ、という言葉ではあらわしきれない
日常の流れや生きる活力、のようなものがこの本には書かれているような気がします。
「人間の首を360度回してみれば視線は同じように見えるけれどもその性質は全てが変わっている」
という言葉を思い出しました。
たとえ数年後世界が滅んでしまったとしても
人間はまだまだ捨てたもんじゃない。
きっと世界の価値は変わらないんだと思います。
ああ、でもやっぱり彼らがこの世界にいないのはやっぱり寂しいなぁと
後を引く物語でした。
不謹慎ですが。大変楽しめました。

地球に隕石が落ちなくとも、災害や戦争で国がが滅びること、
人生積んだ!!終わった!!(寝坊して遅刻とか問う言うレベルではなくて)
と思うことは生きていればあるかもしれません。
そんなときに彼らの生き方は指針になるかもしれません。
自殺も悪くないかもしれませんが、
できれば胸いっぱいに生きている人を参考にしたい。
キャプテンになった男、家族を仲直りさせた母、
やぐらを立てた父、子供を生むことを決断した夫婦、
サッカー倶楽部を作った人たち、家族になった人たち、
強くなるために研鑽した男達、貸したものを取り立てに来た男、
本を沢山読んだ女子、異なる三人に話を聞いた女子、
恋をしてみることにした女子…
なんか「冬眠のガール」が多いですね。
「冬眠のガール」が一番好きです。
前向きで読んでいて楽しい。
なんか指針みたいなものが沢山見えてくるからかもしれません。
「太陽のシール」も好きです。
「篭城のビール」はちょっと計画がずさんすぎてテンポが悪いかな。
大丈夫かよ。ちゃんと三年逃げきれる?
でもそうやってグダグダしているからこそ得られたものもあるのかな。

終末何してますが?
暇してますか?
世界を救うようなヒーローじゃないですけれど
人生楽しんでますか?
誰かを救っていますか?
終末じゃなくても人生を楽しんでいますか?
生きていることを思い出したい人に、
指針がなかなか見つからない人にオススメです。

posted by 安藤 at 19:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 集英社 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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