2015年11月01日

たけくらべ

たけくらべ (集英社文庫)たけくらべ (集英社文庫)
樋口 一葉

集英社 1993-12
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廓の街に住む勝気な美少女・美登利は
お寺の息子・信如にほのかな想いを抱いている。
しかしお互いを意識するにつれ会話はぎこちなくなり…。
せつなく不器用な初恋を情緒あふれる文体で
描いた一葉の名作「たけくらべ」をはじめ代表作三篇を読みやすい新表記で収録。



難しい。

表紙に引かれて読んでみたのですが
とても難しかったです。
欄外の注釈を読みながら進めないと
全然意味が分からない。
本書が描かれている時代のことはよく知らないので
登場人物たちの行動がピンとこない。
フェミニズムとかよく知らないから
抑圧される人々の苦悩を実感できない。
国語(大和言葉)に歴史(時代背景)に社会(差別問題)。
お勉強をしないで楽に20年を生きてきたお嬢さんには分からない世界でした。
現代のエンターテイメントというのは力あるものが勝利する世界を描くものなのかもしれません。
あるいは力あるものが敗北する世界。
例え敗北したとしても現代のエンターテイメントと
「たけくらべ」時代の文学では大きく隔たりがあります。
敗北さえできない、戦うことができない、
流されせざるをえない。
それはとても不幸な世界のように見えるけど
世界がそうなっていると言うことは
誰か(上流階級の人々やその他大勢の庶民)はどこかで幸せに生きているのであって、
不幸せなのは本の一握りの人間だけなのかもしれません。
その事実がさらに主人公達が自分自身を身分の檻に閉じ込めている要因になっているのかもしれません。

抑圧されても突き破っていこうとするキャラクター達、
その物語にカルタシスを感じる、
そういう読み方をしているので
「たけくらべ」は手に余りました。
思えばファミニズムって完全に過去の話なんですよね。
今は金があれば、頭がよければ、顔がよければ
コミュニケーション能力が高ければ、愛があれば
好きな人生を歩んでいくことができる。
いやいや歩めていないよ、という人もいるかもしれませんが
よくよく話を聞いてくとそれはいじめとか虐待とか…
犯罪の話であって
女と男の身分がどうこう、社会的身分がどうこうという話ではなかったりします。
行うべきはフェミ運動ではなく犯罪を減少させるか
被害者をいかにして保障するか、という話なので
差別とかはもう社会に残っていないのです。
安藤にとって「たけくらべ」は遠い過去の世界の話でした。
自分が勉強のできないアホであること、
過去の苦しみを理解できないアホであるということを知るのは恥ずかしく、
情けない気持ちになるのですが
「たけくらべ」が遠い、というのは幸せなことなのかもしれない、
とも思いました。

安藤にとって「たけくらべ」は中学生が「女子と遊ぶの禁止なー」と言われて
なんとなく疎遠になってしまう話でしかないし
「にごりえ」は娼婦におぼれる源七はあほだなーとしか思わない。
「十七夜」はお関には同情するけど録之助の不甲斐なさには飽き飽きする。
注意して読まないとただそれだけの物語でした。
普段エンターテンメントばかり読んでいるので
たまにはこの幸せな世界に至るまで何があったのか
これから何をするべきなのか得られる本なのかもしれません。

力こそ全て。
この世界に乾杯。
たけくらべ、いつかはこの物語に愛を感じることができるだろうか。

posted by 安藤 at 13:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 集英社 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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